この度、Art7tenと奈良 蔦屋書店共同企画として現代美術家・新野洋の個展 [WUNDERKAMMER (ヴンダーカンマー) -森の思想-] を開催する運びとなりました。 1979年に京都府に生まれた新野は、2003年、京都造形芸術大学(現・京都芸術大学) 洋画科を卒業。卒業後オーストリアに渡り、2008年にウィーン美術アカデミーにて修士号を取得。現在は、京都南部の自然豊かな山間部のアトリエを拠点に活動しています。 また、近年ではニューヨーク、マイアミ、バーゼル等海外での発表機会も多く、国内外で高く評価されています 京都の自然豊かな環境で生まれ育った新野の作品は、幼い頃より植物やそこで生息する虫たちに触れ、それらを敬い、真摯に向き合ってきた彼の心情が反映されています。 一見すると本物と見違える様に精巧に形作られた”いきもの”は、日々自然と向き合い、研究者のごとく制作してきた新野ならではの表現といえます。 展覧会タイトルである[WUNDERKAMMER]とは、ドイツ語で「脅威の部屋」「不思議の部屋」と訳され、15-18世紀頃のヨーロッパの貴族たちが様々な土地で収集した珍品を展示していた部屋は、現在の博物館の原型といわれています。 本展では、植物の採集・観察・収集という過程を通して制作してきた新野の世界観を感じていただける空間となっております。自然界は、我々にとって当然身近なものでありながらも未知の世界、人々の探求の形でもあります。細部にまで潜んだ驚きを作つく出すこの空間を是非お楽しみください。
植物の造形や色彩は、 誰かが美意識を持って創り上げたかのような 見事な姿をしています。私は生物がどのように自らの体をかたちづくるのか、 自然の摂理を知りたいという好奇心から日々の自然観察を基に作品を制作しています
作品は 自然物を採取することから始まり、型取り、樹脂成形して標本化、その後これらを複製、分解、再構築することで基の生物とは異なる「いきもの」へと姿を変えていきます。実在しないその「いきもの」の創出は単なる架空の生物の制作ではなく、自然がつくる形態の普遍性を探り出し、生命の根源的なかたちを顕在化させるための自然との対話です。
自然の造形が凝縮され、かたちになったその「いきもの」は採取した地域性を色濃く映し出すだけでなく、人の手ではつくりだせない記憶をも内包し、不思議と命あるもののように感じるのです。
新野 洋 Hiroshi Shino 京都造形芸術大学卒業。ウィーン美術アカデミー(Akademie der bildenden Künste Wien)、修了。帰国後、京都府南山城村を拠点に制作活動を続けている。 主な展覧会 「夏休み!いきもの図鑑」(2014) 群馬県立館林美術館 群馬 「VOLTA NY」(2015) ニューヨーク、アメリカ 「APMoA Project, ARCH vol.19 新野 洋 日月の江」(2016) 愛知県美術館 愛知 「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ 2018」 (2018) 新潟 Web : http://hiroshishinno.com 展覧会情報 新野洋 個展 WUNDER KAMMER - 森の思想- 会期:2022年3月5日(土) - 3月17日(木) 時間: 10:00 - 20:00 場所:奈良 蔦屋書店 2F 天平ギャラリー 〒630-8013 奈良県奈良市三条大路1丁目691-1 アクセス:近鉄奈良線「新大宮駅」より徒歩10分 JR線「JR奈良駅」より徒歩25分